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月一回開催(二日間)の演技のワークショップの紹介
2009年6月開始、劇作家・演出家・女優であり、
小説家でもある前川麻子が主宰するワークショップです。
テーマは「素の表現方法」。映像や舞台での演技の作り方を。
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    WSでちょびっと使った没台本が映画になったよ!
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       もう一年ぐらい前になるんだろうか。たぶんその時点では、公演を前提としてはいたんだろうけど、まだ全く未定の企画として書かれた二人芝居台本だった。それを前川さんがWSに持ってきた。久々に見る前川オリジナル戯曲だ。それも、最近多かったおじさん芝居じゃなくて、大人の男女の二人芝居。前川さんの実年齢に近い物語だ。

      冒頭の部分をWSでやってみた。状況がよくわからない。なんか、その二人がのっぴきならない状態であることはわかる。やたらと過去を振り返る。だけど、なんで男が引きこもっているのか、なんで住居を転々としているのか、ちょっとホンを読んだだけでは理解できなかった。というか、稽古場では冒頭の部分しかやらなかったので・・・。

      WSの次の回では、別の新しいホンが用意され、稽古はそっちに移って行った。その後、企画自体が中止になり、そのホンが顧みられることはなくなった・・・。

      が、そのホンはしぶとく生きていたんだよな。新しく書かれたほうが「愛のゆくえ(仮)」というタイトルなのに対し、企画が中止になったほうは「愛のゆくえ(没)」と命名され、映画化の企画に生まれかわっていた。

      ・・・びっくりしたよ。でもまあ、そういう企画って、この業界ではしばしば生まれては消える運命だったりする。それこそ「企画のゆくえ」は結局「没」になるんじゃないかと思ってた。

      映画は完成した。監督によってホンが練り直され、映画用の新しい命を吹き込まれたという・・・。すごい生命力だなあ。映画のタイトルも「愛のゆくえ(仮)」となった。ちょっと昇格した。

      WSにあのホンが持ってこられたとき、こんな運命が待ち受けていることなど、思いもしなかったよ。こういうのはやっぱ作品の力なんだろうなあ。あらためてホンを読み返してみると、ある特定の事件がモチーフになっていることがわかる。事件のもつ力でもあるかもしれない。

      早く映像が見たいよ。

      木村文洋監督作品

      『愛のゆくえ(仮)』

      最新監督作 2012年公開予定/ 前川麻子・寺十吾 出演


      木村文洋ブログ

      http://ameblo.jp/bunyokimura2009/


      木村文洋監督「へばの」(2009年1月にポレポレ東中野で公開)


      | 一寸小丸 | WSメニュー | 01:05 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
      準備会からのWSへのフィードバック
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        前に「準備会を見てると、前川WSが何をやってるかがわかるかも」と書いたが・・・その話です。
         
        5月19日に「愛のゆくえ(仮)」の第3回準備会(トライアル)があった@下高井戸。会場が変わったが、内容は第2回のときと同様、寺十さんの代役を置き(吉村公佑)、前川さんと小返し稽古をさせながら芝居を作っていくもの。代役の役者が代われば、ダメ出しも変わるので、結局頭から前と同じところまでしか進まない。そりゃもう当然と言えば当然のことだった。

        で、この小返し稽古で芝居を作るのは、普通に私らが芝居を作るときと全く同じ。ある意味一般的なものだ。もちろん、方法は同じでも、ダメ出しのセンスとか、台本の解釈で差が出る。寺十さんの繊細な作り方は勉強になった。それと、同じシーンなのに、前回と今回の役者が違うので、その差もまた興味深い。ある意味では役者の力量も問われるわけだ。違う役者で同じシーンを作る、というのは初めて見たと言えるだろう。普通の芝居作りでは、キャスト変更でもないと、なかなかできない。そして、芝居作りの初期に変更になることって、そんなにあることじゃないし。

        さて、この準備会を見ていて、いかにこの前川WSでやってることがユニークであるかがわかったよ。そして、やっぱりこのWSのやり方のほうがやるのには面白いだろう、ということも。(私にとって)

        小返しで作っていくことは、あいまいなものをクリアにしていく作業だ。それも、そこにいる役者全員が理解を共有できる。ホンに書いてある意味が明確になるわけだが、それは逆に言うと、可能性が狭まっていくという意味も併せ持つ。無数にある選択肢から一つを選んでいく作業は、明確になると同時に、いい意味でのあいまいさが消えることだ。もちろん、一つの意味を選んで演じたからと言って、お客にその一つが伝わるか否かはまた別の問題で、お客にとってはあいまいに見えるものだったりするわけだが。

        これに対し、前川WSでやってるエチュード仕立てってやつは、ある意味ではあいまいすぎて、解釈をうまくできない役者だと、何をやってるのか全くわからなくて、ぼんやりした芝居になってしまう。しかし、そこそこできる役者がやれば、なんつうか、ちょーちょーはっしのやり取りができて、とんでもないことが生まれたりする。

        例えば、「愛のゆくえ(仮)」で言うなら、男と女それぞれに「条件」を一つだけ決めて、芝居をやってみるわけだ。「男はめいっぱいてんぱっている」「女はこの際、男とよりを戻そうかと思っている」とか。ぎんぎんにてんぱっていて、興奮しっぱなしの男と、どうにかしてヨリを戻そうとあの手この手を繰り出す女、とか。客入れのときからぎゃーぎゃー泣いたりわめいたりしている男のところに、オシャレした女が入ってくる、とか。なんか・・・とんでもないことになりそうだから、やめたほうがいいか。

        前川WS式の作り方はたぶん、こういうことだ。この前提条件をどんどん変える。「男は包丁を持って、死のうとしている」ところへ「明るくへらへらした女が入ってくる」とか、「ぼーっとしたまま動けないでいる男」のところへ、「いらいらして怒っている女が入ってくる」とか。なんでもありだ。そして、この台本はどんなパターンでもやれるホンなのだった。すげえホンだよな。まだまだいろんなとこがあいまいだから。

        たぶん、寺十さんは、ある程度、ホンの世界をクリアにしてから、状況を変えていくのだろう。これを一般的な芝居作りにおいては、一回作ってから壊す、というのだが(私らもやったよ)、そもそもこの企画はキャストが3パターンなので、壊すもなにも、別のパターンでは別の状況で作らざるを得ないのだった。ホンをクリアにして固めたとしても、キャスト次第でパターンが全く変わってしまう。それだから楽しみなのだった。

        しかし、いい役者が自宅でじっくりホンを読んできて芝居を作ってきてもらい、稽古場では日替わりで条件を変えてやってみる、というWS方式のやつも見てみたいと思う。本番では決して見れないすごい瞬間を、稽古場にいる人だけが見れる、という贅沢なやつ。二度と再現できないアレだ。再現できないから問題なんだけど、ま、演劇なんてそんなもんだから、いいんじゃなかろうか。違うか。

        次回WSは今週末。詳細は上のバナーをクリック!

        | 一寸小丸 | WSメニュー | 05:08 | comments(5) | trackbacks(0) | - | - |
        「意味ゼロ」の意味を考える。
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           WSでやってる「意味ゼロ」表現の稽古。「簡単に言うと」というのは嫌いだけど、まあ、簡単に言うと「意味は感情」であり、「感情をニュートラルにする」のが「意味ゼロ」だ。

          「あんたなんか嫌い」を「ヘイトユー」っていう本来の意味だけじゃなく、「大好きよ」とか「この際やらせろ」とか、「悲しくって死にたくなる」とか「なんちゃって」とか「殺す」とか、いろんな別の意味で言うことができるのはわかるだろう。そのことばをどういう意味で言ってるのかは、感情をどう作るかで変えることが可能なのだ。で、意味を抜く、というのは、そういった感情を消して、ニュートラルな状態で言うってことだ。そうすると聞いてる側はどういう感情、どういう意味で言ってるのか、全くわからない。

          意味ゼロとはすなわち感情ゼロで、言い方を変えると、セリフには本来のコトバの意味とは別の感情を入れることが可能であり、別の感情を入れなければならないってことだ。

          だから、素人が意味をつける表現ができずに、ただしゃべると、意味ゼロになる。常になんかの意味をつけて表現することを学んでいると、それができない。聞いてれば、今のはこれこれ、という意味・感情があったように聞こえた、と指摘することができる。つまり、感情をニュートラルにするのは技術がいるってことだ。外面的な棒読みじゃなくて、心の内側をニュートラルにする技術が。

          聞いてる側も、コトバの本来の意味「あんたなんか嫌い」を聞くんじゃなくて、別のどういう感情があるのかを聞き取らなければならない。それを聞き分けることができて初めて、意味ゼロを聞くことができる。

          不条理劇においては、セリフが本来のさびしいとか悲しいとか退屈だ、といったような状態を説明していない。会話の内容を伝えあうのではなく、芝居全体の空気や背景を伝えなければならない。例えば・・・(とっさに作ってみる)

          A「ちょっと寒いですね。」
          B「北海道は雪でしょうか」
          A「もう5月ですよ」
          B「ああ、そして夏が来る」
          A「いえ、まだ寒いです」
          B「札幌は雪でしょうか」
          A「何を言ってるんですか」
          B「わたしは・・・生きていたいだけです」

          とかね。なんのこっちゃい。




          | 一寸小丸 | WSメニュー | 03:02 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          「都電エチュード」Ustream録画
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             前川さんがWSメニュー「都電エチュード」にコメントの形で、2012年2月WSでの都電エチュード動画を書いてますが、せっかくなので、独立した記事にもしておきます。

            2月WSの都電エチュード/1セット目
            http://www.ustream.tv/recorded/20550925

            2月WSの都電エチュード/2セット目
            http://www.ustream.tv/recorded/20553930

            動画共有サイトUstreamへ生録画したやつです。それぞれ12分程度。回線、時間帯で、再生がスムーズにいかないこともあります。我慢してダウンロードを待ちましょう。画面に映ってるほとんどがWS参加者です。ってゆうか、小奇麗な格好じゃないのがメンバーです。ほんと混んでたんですねえ。

            なんか、話している人は周囲を気にしてなくて、話しが止まってる人は無言で挙動不審になってるような・・・。

            「都電エチュード」とは?

            | 一寸小丸 | WSメニュー | 23:26 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            だんだん、ほんとうはどんな人なのか、わからなくなっていく>前川WS「素の表現方法」(6)作らない・作る
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               WSメニュー:素の表現方法(6)作らない・作る

              これまでのを読み返してみると、なんかかなりハードなワークショップだという印象があったりしないだろうか・・・そんなことないですよ。だって、最初に缶ビールですから。ゆるゆるです。舞台経験者と未経験者が半々ですし。ま、未経験って言っても、音楽とか写真とかアートとかの方面の人や、観劇が好きな人とかです。それなりに芝居の作られ方、俳優の深層心理に関心のある方です。そこそこ満足が得られているみたいです。

              だいたい、スカートでも受けられるワークショップですからね。ゆるいですよぉ。

              と言っても短いスカートはあまりおすすめできません。周りが動揺します。少なくとも私は落ち着きませんでした。

              あ、スカートを一番多く、何度もはいてきた人って言うと・・・男ですけど。

              カレは高校のときにラグビーやってた大柄なヤツで、声も野太いのです。あくまでも女装は趣味だそうです。

              私はほんとうに人の名前を覚えられない。初めて参加した人のことなど、全く覚えてません。2回3回と参加し、打ち上げで何回か話して初めて顔を認識し、だいぶたってから名前と顔が一致するという・・・。なので、私が個人を認識したときには、すでにすっかりその人の創作キャラクターが設定されているため、その人がほんとうはどういう人なのか、全くわかりません。名前だって、ここのワークショップでだけ通用しているものが使われています。チラシに載ってる名前とWSの通り名と、全く別のものだったりするし。

              ということで、女装のカレがいつからそうなったのか・・・気がついたらスカートはいてました。いや、絶対に最初は男だったと思うのですが・・・(記憶があいまいだ)。WS以外でも女装してデートしたとか。化粧するし、脱毛するし・・・。けど、でかいし、野太いし。こないだ都合で女装できずにWSに来ました。最初、誰だっけ?と思ってみてた。途中でカレだと気付いたんですが、違和感あって、それが「男」に戻っていたからだと理解するまで15分ぐらい時間がかかりました。ほんと、混乱してます。もう、誰がほんとはどういう人なのか、氏素性が全くわかりません。

              とにかく、「設定」です「創作」です「作る」のです。見た目だけではありません。「性格」が規定されることも。「あんたは常にいらだっている」とか。

              あるとき、私が「この人っていつもいらついてて、こっちがいらつくよ」と思って見ていたことがありましたが・・・「創作」でした。だって、酔っ払ってくると、普通にいい人に戻ってんだもの。おそるべし。

              自然に創作の、うその世界に入れる、ってことが役者の第一歩なのでしょうね。キャラだけでなく、リアクションでそれができるようになると、一人前なのでしょう。まあ、面白いかどうかは別ですけど。それはまた、別の話し。

              ■ちゅうことで、本日(2月18日)と明日(2月19日)が2月WS開催日です。そして、19日の夜には試演会という名の見学会があります。予約不要です。ふらっと見に来てくれてけっこうです。入場無料。19時からです。ぜひ!

              詳細はこちら。

              | 一寸小丸 | WSメニュー | 10:21 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              どシロートだろうが、ハンパな芝居やるやつは「死ね」>前川WS「素の表現方法」(5)うそをつかない
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                 WSメニュー:素の表現方法(5)うそをつかない

                演劇はうそ(虚構)なんですけどね。

                だからホントっぽく見えればいいんです。リアルであれば。ほら、ホントにいいオンナには騙されてもいいじゃないですか。(関係ない)

                要するに、どうすればウソがホントっぽく見えるのか、ってこと。そのことを前川WSでは直接じゃなくて、間接的にこまごまとやっている。やってる人は気付かないかもしれないけど、ハタで見てると、そのことばっかりやってることがわかる。いちいちそこまでやるのか、とか、そっからやるのかいな、とか思って私は見てる。

                ウソをホントっぽく見せる重要なポイントは二つ(と、いきなり結論を書いてしまう)。一つは最初の設定をきっちり確立すること。二つめは設定を表現すること、だ。

                【設定を確立する】

                エチュードでも台本を使った芝居でも、最初に自分がどんなヤツなのか、周りの人間とはどういう関係なのか、というのをきっちり確立しなければならない。要するに「解釈」だ。「解釈」は役者の仕事だ。間違えちゃいけないのは、中途半端な設定は、むしろやらないほうがいいってこと。よく「役作りするな」と言われるが、それは中途半端に役作りされると、ほんとダメだからだ。ステレオタイプなロクでもない型どおりの役作りは、ただただ気持ち悪いものとなる。やるんなら徹底的に作らないと。「解釈」が重要となる。前川WSでは「解釈スペシャル」の回があったが、同じ役でも人それぞれの解釈があり(解釈に正解はない)、同じ物語でも全く別のものになりうることを説明した。設定するのはキャラクターだけではない。関係性もだし、物語全体が何を目指しているか、もだ。解釈はいらない、という演出家もいるが、稽古場を「解釈の提示の場」として認めている演出家、脚本家なら、しっかりと受け止めてくれる。そして瞬殺で「却下」とも言ってくれる。

                【設定を表現する】

                「解釈」はしなければならない。それを自分の中に落とし込まなければならない。しかし、それを表現するのはまた別のレベル。わかっていても、それをちゃんと表現できるとは限らない。頭で理解していても、それがちゃんと表現できるとは限らない。本人はその「つもり」でやっていても、ハタで見てると、「そんなわけないだろ」と感じることもしばしば。これの解消は・・・「場数(ばかず)」しかないだろうなあ。場数って言っても「やればいい」ってもんじゃない。「つもり」を何回やっても意味がない。「そう見えてないよ」というダメ出しをもらわないと、つもりのままだ。なんせ「リアル」と「演劇的なリアル」は違うのだから、本人がリアルに再現してたとしても、舞台や映像で見るとウソっぽいものとなってしまうことは少なくないのだから。見てもらってダメ出ししてもらう、ことの数を増やさないとならない。まあ、そうは言っても、前川WSでは「死ね」のひとことという場合もあるけど。耐えてください。

                最近の演劇は、台本がいいよね。いい台本をそのまんま上演している。役者それぞれの解釈が見えない気がする。あえて役者に余計なことをさせない、とも言える。しかし、その場合、戯曲を読んだほうが面白い芝居になってしまうような・・・。いや、役者に自由にやらせているのに、「これは戯曲読んだほうが面白いんだろうなあ」ということも多い。役者が自らの個性を発揮して、戯曲を膨らませることをやっていないような気がする。その結果、演劇界から新しい突出した才能が出てきていないような気がする。堺雅人にしろ佐々木蔵之介にしろ、出てきたのって何年前だろう。

                演劇において戯曲が重要なのは確かだが、やっぱいい役者を見たいよなあ。前川WSは、前川麻子という優れた戯曲の書き手が中心になってますが、明らかに「役者前川」が前面に出てやってる「演技の鍛錬の場」です。演技の経験のあるなしに関わらず、「役者としてすべき作業」が要求されます。そこは覚悟してください。ハンパだと「死ね」って言われます。

                | 一寸小丸 | WSメニュー | 07:23 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                共有と自由。
                0
                   先日、MLでの呼びかけで流山児事務所の天野天街演出作品「田園に死す」を観に行きました。
                  参加は、てるこ、ナツコ、多田さん、竹内、勝呂。
                  別の日には、永作とチバミク。
                  カズエちゃんからも予約を承っています。

                  呼びかけた理由は、出演者の中に寺十さん経由でお世話になっている人がいて、その方のノルマをとりまとめる為だったのですが、これはもう演劇人生においては互助会のようなもので、小劇場の役者なんてのは巧いだの下手だのよりもまず先に「チケット何枚さばけるか」だけでキャスティングされます。

                  もちろん、それだけの理由で皆さんに声をかけたわけではありません。
                  流山児事務所は私個人が長年お世話になっている劇団でもあり、天野さんは先日オフィスコットーネ主催の「赤色エレジー」ワークショップを見学させて戴いた際にテキストの使用許可を戴き、うちのWSでも使わせてもらっています。

                  そもそも、ご縁があるか、何か観るべきものがあるという確信の中でしかこうしたお薦めはしないので、反応してくれる人がいるのは嬉しい。

                  決して安くはない観劇料金を支払って、飲みの席にも参加してとなると、お財布にゆとりのない人には悔しい思いをさせてしまうのもわかりますけれども。

                  うちのWSでは飲み席が多いので、飲みの仕切りができる人材が育ちます。
                  どこの打ち上げに参加しても、明らかにそこんちの若手がやってる場でなければ、新人同様の皆さんがお手伝いをすることは当然のお行儀ですし、それをやることでしか居場所がないってこともある。

                  飲み席は「そのとき、そこにいる」という共有が増やせるチャンスです。
                  自分から名乗ってご挨拶をし、出演者に感想を伝え、その芝居に関わった人たちの話を聞く。
                  礼儀や常識、気配り目配り、人との距離感を測ることができてなんぼでもありますが、こればっかりはやらないと覚えない。
                  お酒の席ですから、失敗することを怖がらずに。
                  最初の数回でも私がよその宴席に参加するときにくっついて行って、私がどのように振る舞っているかを視ていれば、たいていの加減は掴めるだろうと思います。

                  但し、こういう場にいるとき、概ねは「前川んとこの若い人」「前川のお弟子さん」として扱われるのですが、それはつまり何かあったときに私が責任を持つ、という関係にあるということですから、一個人の感覚で振る舞うことは避けてください。
                  本来なら、私がいるうちは帰れないというような場であるわけです。
                  もちろん、私が長っ尻なのは皆さんも承知と思いますので、それはしなくていいよ、となっていますが。

                  たとえば、「帰る」判断は何を基準にすればいいのか。
                  もちろん、翌朝が早いとか、体調が悪いとか、お金がないとかの個人的な事情は許されるとして、場に負担をかけない、ということを考えれば良いのだろうと思います。
                  「前川がべろべろになっているので、出演者の皆さんにご迷惑である」とか。
                  「前川と出演者の一人が険悪になっている」とか。
                  そういう場合は「前川を巧いこと言いくるめて連れ帰る」が正解 笑
                  もしくは「様子を見るために自分も居残る」か。

                  「酒の席なんだから、そんなこと関係ねえよ」と言ってくれる人も周囲にはたくさんいますが、そういうふうに言う人ほど、若いうちにきっちりそれをやってきて、そう言えるような人になっていることを忘れずに。

                  そうしたことが、何につながるのか。
                  これは、ちゃんとそこを経た人だけが、価値を体感できることだろうと思います。


                  感想を言葉にする。場に足を運ぶ。人の意見を聞く。人を視る。場を視る。
                  人との距離を測る。
                  空間の中での自分の位置を測る。

                  テキストだろうがエチュードだろうが、お芝居をするときに必要とされる能力のすべてが、飲み席でも同じように求められます。
                  何をしてはいけない、何をすればいい、という捉え方ではなく、そのときそのときに自分で感じ取って判断しなければならないのも同様。

                  自己流のマナーで満足しないように。
                  「共有」という感覚をもっと意識してください。

                  「共有」は、人から分け与えてもらうこと+自分が人に分け与えること、かな。
                  意識しなければならないうちは息苦しいでしょうけど、感覚が身に付けば一人の感覚よりもっとずっと大きな自由を得られます。

                  「私なんかが…」という消極は不要です。そんなもの遠慮のうちにも入らない。
                  拙い意見、的外れな感覚でもいいんです。

                  良くても悪くても、人がきちんと「一人分」であること。
                  これ、お芝居するときと同じでしょ。

                  受け入れる受け入れないは相手の自由。
                  これは、観客との関係性に同じです。

                  つまり舞台の上でも飲みの席でも、
                  「一個人の感覚で適切に判断された上でのチームプレイ」が求められる。
                  このバランスを測る能力を、芝居の場では「センス」と言ったりします。

                  共有する感覚の一つとして、一番大事なこと。
                  感想を言葉にしてください。
                  まずはこれができないと、どこにも連れて行けません。

                  面白いもの、面白い人、面白い時間、たくさん共有しましょう。


                  ☆「田園に死す」の感想、以下コメント欄への投稿でどうぞ↓
                  | maekawa | WSメニュー | 22:12 | comments(11) | trackbacks(0) | - | - |
                  あなたはその日、ノーパンで外出したことをどう表現するのか>前川WS「素の表現方法」(4)リアクション
                  0
                     WSメニュー:素の表現方法(4)リアクション

                    ちょっと難しい話かもしれない。ウソの表現はダメだけど、正しくリアクションしていればそれでいいというわけでもない、話。

                    前に前川WSにバイトで「SMの女王様」をやっていた人が来た。けっこう若いときから長いこと女王様をやっていたのだが、あるとき、「自分の本質はマゾだ」と気がつき、それ以降は女王様をやるのがしんどくなったという。気がつくの遅いよ。

                    で、女王様を辞めてデリヘルになった。相手の要求になんでも応えるのがデリヘルだ。セーラー服を着て来い、と言われれば着ていき、チャイナドレスを、と言われれば応える。レストランやドライブでのデートも対応し、一日デートもするという。それで、どんな場所でもエッチし、どんなシチュエーションでもぱっくんちょしなければならない。「ウェットティッシュは必携」と言ってた。

                    あるとき、服は普通でいいけど、ノーパンで来てくれ、レストランで食事しよう、と。衆人環視の中で、ノーパンでデートだ。まさか、そこにいるカップルの女性がノーパンだとは、周りの誰も気付くまい。そのことを知る彼だけが大興奮だ!

                    ところで、彼女はノーパンぐらい平気だった。がしかし、「ノーパンであることを隠す」芝居に徹してしまうと、彼としてはどうなんだろう?と考えた。「ノーパンであること」を無視することは可能だが、それだとデリヘルとしてはまだ甘い、と考えたのだ。いかに、恥じらいや動揺や緊張感を彼だけに伝えるか、が問われるのだったという・・・。すごいよな。

                    普段の仕事のたまものか、彼女はエチュードが上手だった。ただ、普段の動きに問題があり、なかなか大変だったっけ。明らかに普通の動きが変なんだもん。(面白いけど)

                    セリフに書いてある通りのリアクション、ト書きにある通りのリアクションをしていればいいのか、というとそうでもない。リアクションに「正解」はない。当たり前のリアクションでは芝居にならない。十人百色のリアクションだ。より面白いほうが勝ち。ウソはダメだが、成立しているものならなんでもありだ。

                    前川WSでは、最初に自己紹介をし、新たな人格を付与されたりする。風俗で働いていることになった人や、意味なく常にいらだっている人になった人も。その設定は、毎回のWSで有効となり、どんなハプニングやエチュードでも有効。普段の自分で普通にリアクションしてはダメなのだ。これって、かなり大変な要求だ。まあ、その設定は、見ている人も忘れていることも多いのですけど・・・。

                    マクドナルドで会話している女子高生がめちゃめちゃ演劇的でも、それを舞台に乗せてもちっとも面白くない。「舞台」という場は、ちょっと面白いキャラクターぐらいじゃ通用しない。「真実」はいらない。日常のリアリティと「演劇的なリアリティ」は別物だ。だから、リアクションもまた、普通じゃダメとなる。ノーパンであることを隠している、ことを伝えないといけないのだ。私、できるだろうか・・・?(男だから、は逃げですか?)

                    「ウソ」はダメなんですよ。だから、「演劇的なウソ」ってことなんでしょうか。さて、どうでしょうか?(つづく)

                    | 一寸小丸 | WSメニュー | 22:45 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
                    「自然な演技」のウソなんて、すぐにバレる>前川WS「素の表現方法」(3)
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                       WSメニュー:「素の表現方法」(3)自然な演技と素の演技

                      「完璧なリアクション」ってのは、ある意味で演技のゴールであり一番難しい、とも言えるのだが、ある意味では基本なんだよね。それができてようやく一人前、的な存在。ちゃんとリアクションできないと、芝居がウソになる。

                      前川WSで一番指摘されるのはこの「ウソ」の表現だ。そして、しばしば見られるのが「自然な演技」というウソだ。ナチュラルっぽく、ごく自然な芝居をしている「つもり」のウソだ。

                      演劇の世界では、「熱演」という名のテンション芝居に疑問が呈されて久しい。90年代には「静かな演劇」がブームになり、小声でぼそぼそしゃべる芝居が流行した。その結果、腹筋やノドを使わずに、日常的な音量の声で話すのが「それっぽい芝居」だと勘違いした劇団が増え、静かな演劇もどきばかりになってしまった。

                      「自然な演技」がウソとなるのは、その芝居が「自然っぽい」だけだからだ。前川WSでも、二人エチュードにおいて、ぼそぼそやってる組が多い。そして、そのウソがすぐにバレる。

                      例えば、二人エチュードを10人ぐらいが舞台で同時にやってみる。実にうるさいことになる。しかし、たった二人でやってるときと全く変わらない音量でやってる組がいる。設定を電車の中として、周りの芝居が影響してきても、変化がない。あるいは、稽古場の空調機が突然ぶぅ〜んと動きだしても、音量が変わらない。普通、周りがうるさければ、声の音量はあがる。周りに人がいれば、気になったり、二人が近づいたり、する。それをしないことで「自然な演技」のフリがバレる。

                      ましてや、客席にいる前川さんや客に聞こえなければ、ダメ出しもなにもないわけだ。あえて聞こえなくていい、という演出でなければ、声を届けようとしないのは変だ。

                      相手の声が聞こえなければ「聞き返す」のが素の状態だが、この「聞き返す」という芝居を見たことがない。そりゃ台本を読んでれば、聞こえなくても言ってることはわかるわけだけど。でも、聞こえなけりゃ聞き返して欲しいよ。

                      例えば本番中にソデで大きな音がしたときとか。あるいは、帽子やメガネが落ちてしまったときとか。起きたハプニングにどう対応するのか。かつての演劇では、高い集中力で、アクシデントを無視して、まるで北島マヤのように芝居を続けるのが高く評価された。しかし、メガネが落ちたらお客さんの全員が、役者じゃなくてメガネを凝視してるんだから・・・。

                      拾えよ。

                      すごい役者は、ゆっくりと拾おうとして、ギリギリでストップモーションになって、やたらと緊張感を高めた。アクシデントを利用した。

                      ソデで大きな音がしたら、ちゃんとそっちを見て(当然客もソデを見る)、笑いに変えるなり、緊張感に変えるなり、する。

                      常に素の状態でいる、ということは本当はとても難しいことだ。役者はどうしても、設定とか段取りに縛られてしまう。しかし、前川WSでは演技の経験もないアマチュアだろうと、最初っからソレが要求される。それどころか、二人芝居の相手役として前川さんが参加すると、やってる最中にビールを取りにいったり、イスを持ってきたり、ということをやる。たぶんやってるときに座りたくなったり、ノドが渇いたり、タバコを吸いたくなったりしたからだろう。その欲求に従ってるだけだ。たいがい、それに対して相手役の人はなんの対応もできなかったりするのだった。大変だよな。

                      前川WSでは、発声練習も柔軟体操もしないで、普通の自然な状態での芝居でいいことになっている。しかし、求められているのは「素の状態」であって、「自然っぽい演技」ではない。うるさい場所では声が大きくなり、起きたハプニングにはリアクションするのが当然なのだ。それをしなのは「ウソ」であり、「気持ち悪い」と罵倒される。その結果、演技の経験の全くない人のほうがちゃんとできてたりするという・・・。不思議だよなあ。

                      もちろん、演劇や映画においては、ウソのない演技をする、の上の目標として、「魅せる芝居」「客に届ける芝居」がある。それはまた次の段階となる。きちんと正しく反応していれば、それで良い、というだけではない。それはまた、別の話しとなる。

                      ここんところをもう少し掘り下げてみたい。

                      | 一寸小丸 | WSメニュー | 03:20 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                      「素の表現方法」(2)とりあえずビール
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                         WSメニュー:「素の表現方法」(2)とりあえずビール

                        前川麻子による「演技」のワークショップですが、普通の「演劇のワークショップ」では考えられないことから始まります。一般的なWSでは、「動きやすい格好で来てください」「汚れても平気な服で」「汗をかいても平気な準備を」などの要請があります。そして、柔軟体操や発声練習、滑舌「あめんぼあかいなあいうえお」的なことも、やったりします。まあ、「あめんぼ」とか「外郎売」とか、あんまりやってるとこ見たことないけど・・・。

                        前川ワークショップでは、受付をすますと最初に缶ビールを一本ずつ渡されます。私の調べによると、銘柄で一番多いのは「ヱビス」で2番目は「プレモル」。って銘柄は関係ないんですけど。

                        で、前川さんの号令で、各自、ビールを飲みながらの自己紹介が始まります。芝居経験や現在の仕事、趣味など。みんな、普通に自分のことを、そこにいるみんなに向かって話す。全員、舞台に上がってはいるが、客席のほうを向いているわけではなく、ばらばらに舞台に散らばり、みんなに向かって話しをするわけです。ま、その場合、缶ビールを持ちながら、という人はいない。みんな一応、床に置いている。

                        もちろん、お酒の弱い人もいるんで、明らかにテンションがおかしくなってる人も。最初ですから、一本を一気に空けているなんて人は私ぐらいで、普通は口をつけた程度で、自己紹介している。話している人の紹介を聞きながら飲んでる人も。前川さんにより「つっこみを入れて」と指示があると、話している内容に対して質問とかが浴びせられます。

                        そもそもビール飲んでやってるわけで、激しい運動とか、汗かいたりするのとかは、ありません。それと、ビール配るのは初日だけです。

                        で、全員の紹介が終わったところで、前川さんからいろいろ注文が出始める。自己紹介にフィクションを入れろ、とか。人物設定を変えるわけです。みんなして、一人の人のキャラクターをいじりだすことも。もともと北朝鮮の出身で、北海道の海で拿捕されて、とか、なんだかわからない人になった場合もあった。そして、ベースはほんとのことだけど、いろいろウソを入れての2回目の自己紹介が始まります。

                        ただし、複数回、このWSに参加している人は最初っからフィクションが入っています。つまり、ここで出てきたキャラクターはこの自己紹介だけで使われるのではなく、その後、ずっと継続されるのだった。打ち上げの居酒屋でも。もう、何回もやっていると、本当のことは誰にもわからなくなっている人もいます。三人の子持ちという設定っていったい・・・わかりません。

                        参加者の二人が親子だったという設定も。お互いバラバラに申し込んでて、偶然この場所で会った、という・・・。(これはすごかったなあ)

                        で、この複雑化した自己紹介はWS中に数回行われるわけです。最初に、全く普通にみんなに向かって話したのと同じようにできなければいけません。素で、緊張しながら、「はじめまして」としゃべったのと同じに。

                        たとえ、試演会のときに、暗転板付きピンサスカットインでやらされても、ごく自然に、自分のことを話さなければなりません。設定がエスカレートしてて、突発的なつっこみがあったとしても、その設定で応えなければなりません。何も知らない試演会のお客さんは「へええええ」とか見てますけど。

                        ちなみに、その日初めて参加した人に「実は今の自己紹介にはウソがありました。どこがウソだかわかりましたか?」と尋ねたとき、すぐにバレてしまう人もいます。・・・甘いね。がんばりましょう。

                        「自己紹介」ですから演劇未経験の人でもできます。未経験の人はうまいです。逆にキャラ設定が入ると、とたんに芝居がかる演劇経験者もいます。困ったもんです。そして、「とりあえずビール」が「素の表現」の入口となっているのですね。油断できません。

                        | 一寸小丸 | WSメニュー | 06:03 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                        2011年11月のWS風景
                        (こんな感じ=2011年11月WS)

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